フランスのデモと Ruby On Rails 誕生の地でのサイレントマジョリティ

フランスで抗議デモがありました。

抗議デモが実際に起こると、あまり関心を持っていなかった層の関心をどんどんひきつけるということで、意味はあるんだろうな、と思います。

こういうデモなどがあったときにデモを起こした側、起こされた側の双方にとって、気にしているとがあります。

サイレントマジョリティがどう反応するのか、ということです。

サイレントマジョリティは要するに、自分自身これといった強い主張をしているわけではないが、興味があったりするというような層を指す単語です。

そのため、今回のデモで注目が集まっていることの一つは、デモ主導者側が壊し屋や強盗のような反社会的な人間がデモに乗じて多数出現することをいかに押さえつけることができるか、ということです。

デモ主導者というのは反体制的ですが秩序的でありたいと思うものです。

そのため、現在フランスのデモ側の人間からは、政府側の人間が反社会的な組織をマニピュレーションして、デモに乗じて反社会的な勢力を扇動しているという噂まで出ているくらいです。根拠がないので、どうなのかは分からないのですが。

サイレントマジョリティがたとえ理念としてデモ側に正義があると思っていたとしても、サイレントマジョリティというのは日々の安定した生活や、暴力に恐れないですむ平和な環境というものを正義や理念や公正さよりも優先して考えたりしてしまうものなのです。

だからこそ、デモと反社会的な活動との連想をマスコミを利用して作り出すことが、政府の狙いとなり、デモ主導者側はそれを防げるかどうかということが指導者として試される場面となります。

この話とは急に違う話になりますが、最近 Ruby On Rails の発祥の地、デンマークで、サイレントマジョリティが主体のとても興味深い活動が始まりました。(この記事で Ruby On Rails という単語が出てくるのはここだけです。ごめんっ。釣りでした。)

その名前は、「Demokratiske Muslimer」。これはデンマーク語。英語でいうと、「Democratic Muslims」。日本語に訳すと「民主的イスラム教徒」です。

デンマークではここ数ヶ月ある風刺画が国全体を揺るがす大事件になっています。それは、預言者ムハンマドのターバンを爆弾に見立てた一コマ漫画です。

実際の漫画を見た感想としは正直言って、単に書いてみたという程度で、それほど強い風刺的意図も感じなければ、芸術的価値もあまり高くはないというように私には感じられましたし、一般にもそのように評価されているようです。しかしながら急進的なイスラム教徒からの反応はとても大きなものでした。

アラブ諸国ではデンマーク製品の不買運動に発展、この事件を契機にしてデモが勃発、漫画の作者の首に報奨金がつくといった事態に発展しています。デモでは、死者も出ています。

それに対してこれまでイスラム教徒に対する寛容姿勢をとっていたヨーロッパ諸国も反発しました。表現の自由を守るためにノルウェー・ドイツ・フランス・スペイン・マレーシアといった諸外国の新聞社がこの風刺画を転載、一気に国際問題化します。民主主義的な表現の自由の観点からいうと、何人たりとも批判されることそのものも許さないという権利はないのです。信仰と表現の自由という理念同士での激突です。

このあたりの経緯については、http://ukmedia.exblog.jp/3599239/ を参照ください。

この一方で、とうとうデンマークではサイレントマジョリティが立ち上がり、一つの団体が結成されました。

それが、「Demokratiske Muslimer」です。主に穏健派のイスラム教徒を対象にした団体で、急進派イスラム教徒と表現の自由を信奉する側の両方を批判することによって、急速に支持を集めています。「多くの人が自分たちのしていることの何かが間違っているということがお互いに分かったのではないでしょうか?」という落ち着いた呼びかけが共感を得られたのかもしれません。この団体は、まだ先月に発足したばかりですが、数千人の参加しかも、イスラム教徒よりもキリスト教徒からの支持を多く集めています。

日本ではまだ全然注目されていませんが、私自身もこの運動は広めていきたいです。とりあえず、暇を見つけて、wikipedia に Demokratiske Muslimer についてのエントリーを書こうかな。

あと、mixi でコミュニティを作ってみました。

こういう国際問題に興味がある方は是非ご参加ください。