トッド・スキナー 滑落死
衝撃的なニュースが突然飛び込んできた。
あの伝説的なフリークライマーであるトッド・スキナーが滑落死した。
http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200610250036.html
私はトッド・スキナーは不死身の体をしていると信じていた。もしくは、何かの精霊によって守られているのだろう、と。
それほどまでにトッド・スキテーの業績は神がかっていた。滑落死するとは。
冥福を祈りたい。
フリークライミングは、ロッククライミングの一種で、安全のための確保用具を使って、自らの肉体と岩壁に自然にある裂け目などのみを使って登るスポーツを言う。人口登攀では、山壁を登るというよりもむしろ、壁に打ち付けたアブミなどの登攀用具を登るといった方が適切な表現になる。
トッド・スキナーは、そのフリークライミングの世界で新領域を大きく開拓した人物だ。
代表的な著作として「頂上の彼方へ」がある。私がかつて読んできた書籍の中でも最も感動し影響を受けた本の1つだ。
その内容はあまりにすごいため、どのように紹介すればよいか分からない。
極限状態を何度も経験してきて培われきたその目標を設定し、達成する生き様は強烈な影響力がある。
よくあるビジネス書の問題点はその学者や評論家自身は自らがプレイヤーとして何も達成していないということだ。その点、トッド・スキナーは実際に山を登るチームを編成し、それほど登攀に慣れていないメンバーを率いて不可能に近いと思えた6250メートルのトランゴ・タワーの登攀に成功する。
この本は、そのトランゴ・タワー登攀をモチーフに描いた自らの目標を達成する男の物語だ。
この本の目次から、山から得られた教訓を引用する。
- あなたは山の産物である。
- 真の成功には、頂上に立つという以上の意味がある。
- 得られるものが最大の道を進め。
- 始めに夢ありき。
- センセーショナルなのは当然と捉え、不可能を追求せよ。
- 地図のない土地を旅するときは、何を知っているより、いかに考えるかが大切だ。
- あなたの使命を定義せよ。
- 方程式から頂点が抜けていたら、当てもなくさまようはめになる。
- あなたの前進と資源を見積もるときは、つねに麓よりも頂点を起点とせよ。
- 平地から捉えた山の写真を持って行け。
- あなたの経歴など山の知ったことではない。
- 餓えがなければ、技術も経験もベースキャンプに置いたままとなる。
- 手ごろな山ほど危険なものはない。
- 究極のチームを作り出せるのは、究極の山だけである。
- あなたが登るその山に関する唯一のガイドブックは、これからあなたが書く一冊の本である。
- 最良の計画とはうまくいく計画である。
- 怖くないとしたら、選んだ山が楽すぎるのだろう。
- 山の亡霊は山そのものよりも大きく立ちはだかることがある。
- 知らないことは、山が教えてくれる。
- 成功するには、失敗するリスクを恐れてはならない。
- 山を低くするのは無理なのだから、あなたは自分を高めなければならない。
- 困難とともに生きると、極限状況にあっても落ち着くことができる。
- 山が頑固であるほど、リーダーシップ・モデルはより柔軟にならねばならない。
- 山に応じて決断をくだす。
- 墜落は失敗ではない。
- かならず頂上に向かって墜落せよ。
- 落下しない石をかわすことはできない。
- 山に嵐はつきものだ。
- 頂上に焦点を定めている限り、最終的にそこに到達するためなら、左にも右にも、あるいは下にも移動していい。
- 嵐の厳しさや長さではなく、それをどう切り抜けるかが問題だ。
- 勢いは、気持ちの問題だ。
- 山における最大の収穫は、最初の90パーセントではなく、最後の10パーセントを登りきることで手に入る。
- 登頂が可能かどうかを問うのではなく、不可能かどうかを問う。
- 即興で乗り切る能力と順応性が、最終的にはきわめて貴重な資源となる。
- どの山もロープの長さからなり、どのロープの長さも一歩からなる。
- 一歩を踏み出せるなら、もう一歩も踏み出せる。
- 頂上は、あなたを支えるすべての肩からなる。
- 頂上では、自分がどれほど遠くまで来たかが実感できる。
- 頂上は登攀の終着点かもしれないが、あなたの上昇の終着点ではない。
- 頂上の彼方を見て、どこに行けるかを思い描く。