[政治・経済] 全トヨタ労働組合

つい最近、全トヨタ路同組合というトヨタグループ横断的な独立労組が結成されていたことを知った。1月22日が決定大会ということなので、もうすぐ結成一年になるわけだ。

非連合系組合活動で、トヨタ関連企業に働く正規非正規を問わずすべての労働者が加入できる。さらには管理者や外国人でさえも歓迎するらしい。参加者は個人単位で加盟し、すでに存在するユニオンショップ制の労働組合とは異なるポジションだ。

このようなテーマは関心を持って追いかけているつもりなので、今まで知らなかったということ自体がとても意外だ。

全トヨタ労働組合の結成宣言はさまざまな点で興味深い。
http://www.labornetjp.org/news/2006/1138634581018staff01

トヨタの既存の労働組合が労働者の保護よりも会社の利益を優先する活動を行っている。これは事実だが、周知されていないだろう。実質的には「サービス残業」といえる組合活動への従事を強要し、組合員は体を壊し社会生活を営めなくなっていく。このような点について率直に指摘されている。

次のページが参考になるだろうか。
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2664929/detail

他に、トヨタ期間工の劣悪な労働条件で低賃金過ぎて結婚もできないという状態にあるということを直接的に指摘している点がとても印象的だ。現代日本において、低収入であることと未婚率の高さの因果関係を直接に指摘するということは、タブーと言っていい。それが事実か意見かは別にして、とにかくタブーだ。低収入者は全般的に低意欲で、結婚にも意欲的でないと書く程度が限界だろう。

山田昌弘著の「新平等社会」で書かれていることだが、低収入と未婚率の高さの関係性を指摘した文章を自治体向けの報告書や新聞等で公表しようとしたが、すべて掲載を断られてしまったらしい。日本の少子化対策が効果がないはずだ。

そういえば低収入者を扱った「ワーキングプア」関係の本も急に発刊ラッシュだ。私も何冊か買った。特に、研究者の実体験本である「ニッケル・アンド・ダイムド」や「ハードワーク」といった体験取材ものが代表的だろうか。米国では「THE HIGH COST OF LOW PRICE」という映画も公開され、DVD になっている。

このような境遇の人たちを横断的に保護する組織は現在緊急に必要とされている。

会社組織の利益のためではなく、定年を待つだけの労働組合員の既得権を守るためでもなく、弱い立場の生活に困る労働者を守るための組織の1つとして、全トヨタ労働組合が注目されていって欲しい。