家計の貯蓄率、日米で低下鮮明・欧州は減少緩やか

link
家計の貯蓄率が減少している主な理由に関して記載されていないので、
ここに解説する。
家計の貯蓄率はさまざまな理由によって、増減するが、その中でも大きな比重を
占める理由は、世帯主の年齢である。引退後の世帯は主に貯金を取り崩すことに
よって生計を立て、働き盛りの世帯は貯金をするだろう。
現在の高齢化社会のもとでは、引退後の世帯の割合が高まっており、
その分だけ貯蓄率は減少する。この傾向は引退後の世帯の割合が安定するまで続
くだろう。

あと、この記事において一面的な取り上げ方をされている経済の成長率と貯蓄の
関係について補足したい。
一般的に言って、経済の成長率は貯蓄が現象している時期に高まる。これは
うそではない。本当に高まる。
なぜなら、それだけ消費が上向いており、お金が回転しているということを
意味するからだ。停滞し貯金ばかりしている国に活力はない。

この記事で書かれている長い目でみた経済の成長率というのは、おそらく
貯蓄率が銀行の準備資金量につながり、ひいては積極的な貸し出し姿勢へと
つながり、それが効率的な間接金融、意欲的な設備投資へとつながっている
議論から書かれているのではないかと、推測する。

しかし、これは嘘である。現在の日本銀行量的緩和政策においては、
銀行の準備資金量は貸し出し姿勢に対してほとんど影響を与えない指標と
なっている。この今の金融世界において、準備資金量が減ることになる
貯蓄率の低下は一切、経済の成長率を低める結果にはならない。