[政治・経済] 与党大敗 改選後議席 自民+公明 104、民主+社民118、共産9、国民新 4、無所属7

今回の参議院選挙の投票・開票はまだ始まっていないが、予想では与党の大敗、しかも自民党獲得議席数30なかばの大敗となりそうだ。

民主の第一党獲得は確実である。

ここまでの大敗となった理由は国民が安部首相を否認しているにもかかわらず、勝敗ラインを引き下げ続、続投できるように配慮し続けたことだろう。与党過半数を勝敗ラインと位置づけ、とれなければ退陣するという意思を明瞭にしていれば、ここまでの大敗にはならなかったと思う。

私は総体としての国民意志という仮想な存在が実在していると信じている。このような結果にしたいという強い意志があり、そのためにそれに応じた投票結果になるのだ。今回の場合であれば、安部首相には交代を願いたいという強い意志があった。その強い力によって安部首相の退陣を余儀なくするために必要な議席数だけ与党は敗北することを避けられない。

タイトルの議席数の信憑性はともかくとして、今後は連立の組替えを含めた政界再編をにらんだ展開になるだろう。

あと、今回の選挙において民主党の良かった点は、農村型政党としての方向性を強く打ち出したことだろう。これは現在の参議院選挙の制度上は効果的な戦略であった。

二大政党制において、二人区というのはほとんど力を入れて戦う意味がない。二大政党の両方が当選する結果になるに決まっているからだ。三人区もあまり意味はない。二大政党の両方が当選して、残りの1枠が争われるだけの話だ。二大政党制はそもそも小選挙区において意味がある制度だ。その結果、参議院選挙のような中選挙区もあれば小選挙区もあるよう選挙の場合は、中選挙区は無視され、小選挙区の農村ばかりがクローズアップされることになる。その結果、郵政解散が起きたとき、自民党民主党の双方が都市型政党を目指したにも関わらず、反転して参議院選挙では両方とも農村型の選挙戦術を展開したのはこういった制度的な面が大きい。

そして、このゲームのルールをよく理解して、それを徹底的に活用した選挙戦術を展開したのが小沢一郎である。はっきり言って、今回の小沢一郎の打ち出したメッセージは退屈であった。小沢ファンにとってさえ退屈だったであろう。昔の自民党を見ているかのようだ。しかし、現在のこの選挙制度においては、それは有効な戦術であったし、その結果として、今回ほどの議席を獲得できたと言ってよい。

今後の政局についてだが、今回の選挙後、3年間は参議院はこの状況が維持されてしまう。そのため、政界再編は免れられない。自民+公明+国民新で過半数を獲得できる可能性はもうない。民主+社民+国民新で過半数を獲得することは起こりえるかもしれない。

しかしながら現状は恒久的なものにはなりえない。理由は、参議院で過半を握ったところで、政治がレームダック状態になるだけだからだ。

それは与党にとって悲劇だが、国民にとっても悲劇である。

日本の政治はレームダック化を放置できるような状態には今ない。政治的解決が必要な課題が山積みなのだ。現政権をいじめることによるガス抜き効果はあるかもしれないが、それによって何かを解決できるわけではない。

となれば、来たるは政界再編であろう。

問題は実現可能性が高い分離分割案がないということた

自民党にしろ民主党にしろ党内の意見はばらばらである。分裂の可能性というか必要性はある。問題は大将がいないことだ。自分で引っ張るにせよ、担ぎ上げられるにしろ、グループをまとめあげられる大将がいないことにはこういうことは話がまとまらない。

現状、大将になって分離分割を実行できそうな人物は、民主党の前代表、前原誠司くらいだ。

しかし、このシナリオには根本的な問題点がある。

前原グループの力が参議院でとても弱いのだ。前原氏とともに行動すると信頼できる参議院議員は前原氏と同じ京都選挙区の松井氏と福山氏くらいしか探しても見当たらない。若手を何人かひきつけることができるかもしれないが、今回大敗してしまうであろう与党と協力する数としては十分ではない。

なお、自民党の分裂、民主党への合流シナリオは衆議院解散総選挙民主党が大勝した後でしか考えられない。現状では、自民党が300議席以上を保持しており、今の民主党衆議院議員と同程度の規模で自民党の議員が離党して民主党に合流することが必要だからだ。

政界再編か進むとすると、あとは衆議院の早期の解散総選挙を突きつけ、民主党が躍進したのちに第一党になるシナリオだが、衆議院の解散権は総理大臣の伝家の宝刀であり、野党から追求されたところで、現状すぐには実行されないだろう。

とすると、一番確度が高いシナリオとしては、単純にレームダック化した混乱した政局がしばらく続くということだ。

結局は、選挙は水物なので、フタをあけてみないと分からないが。