[政治・経済] 権力のLegitimacy

最近、安部さんが官房長官になるということが海外のニュースなどで
次期首相レースのトップランナーなどという風に報道されている
ようです。

こういうあらかじめ次の実力者が予想できるような形になっていることは、
大切な合図になると思います。

こういう次の権力を誰が握るのかという問題では、常に権力闘争が
起きる可能性を考慮に入れる必要があります。
そして、争いを起こさないためには、その候補者がその立場にふさわしい
正当性があることを示すということがあります。

正当性という概念はあまり触れられることはありませんが、重要です。
言い換えるとその人がその立場になるということに多くの人を納得させる
という理由があるかどうかということです。

たとえば、多くの国で血のつながりに基づいて王位継承が行われた歴史が
あります。これは、縁戚関係が多くの人を十分納得させるのに
足る理由だったからです。

もちろん、正当性を示すための方法の1つとして、実力で示すということかあります。
しかしながら、実力で示すということはかなり時間のかかる手法です。
たとえば、カルロスゴーンは明らかに実力がある経営者でしたが、彼が経営者としての
正当性を示すのに最初もっとも有効に働いたのは、ルノーによって日産は買収された
という事実でした。
ルノーによって買収されなければ、日産の多くの社員にカルロスゴーンが社長になる
ことを納得させることは不可能だったでしょう。

また、実力の問題というのは、やってみないとわからないということと、結局
過去の実績で判断することになります。
互いにこの人には実力があるという二人が候補になると、実力で争っている限り
それこそ実力行使で権力争いが発生してしまいます。

話を戻しますが、安部さんが今回官房長官になって、有力候補として
みなされています。これはそれだけで多くの人を納得させやすくなります。
これは、過去の有力だった実力さからのお墨付きというとても強力な正当性を
与えられることになるからです。お墨付きがあれば、多くの人は納得します。
その結果、権力抗争は回避できるでしょう。

そういう意味で今回の小泉さんの人事は、自分がいなくなったあとに
混乱を残さないための大事な人事だと感想を持ちました。