[政治・経済] 安定した消費者物価の中でのインフレーション
最近、東京での土地の値段がバブルというような話をよく聞きます。他に原油や貴金属相場、株式が高騰しています。
一方、日本の金利は低位安定しています。ほぼ0%の金利が続いており、投機的資金にお金が流れています。
このような状況では、経済政策論的にインフレを抑えるために金利を上げるべきだという議論が多くありました。
私もその手の議論にどっぷり漬かってこれからの経済状況について考えることが多かったのですが、今日ふと新しいアイデアが思いつきました。
現在、日本銀行は消費者物価指数を金利をあげるかどうかの判断するための中心的な指標としています。消費者物価指数が上がらない限り、現在の金融政策を継続するということです。
一方、日本政府は大量の国債を抱えているため、低金利下での資産インフレは歓迎すべき事態です。相対的に政府の負担が軽くなるからです。
そこで、政府は現在の状況の継続を願うでしょう。
私は今まで資産インフレは店舗用地の取得価格や、ガソリン価格の上昇を通じて、コストアップにつながり、消費者物価の上昇につながるという理論を信じていました。
しかしながら、最近多くの識者の発言を聞いていると、それは正しくないように思われます。
実際にはコストアップしているのは確実であるのに、消費者物価の上昇にはつながっていないからです。
これを説明するための仮説は2つ考えられます。
一つは、ジリ貧仮説です。「コストアップして、赤字になっているが、商品価格を上げられない。」という説です。もう一つは、「コストアップを他のコストダウンで吸収した。」という説です。
ジリ貧仮説の場合は考察するまでもなく、大変な事態です。経営者・従業員ともにジリ貧。
コストダウンで、吸収するといっても、吸収するのはどこでしょうか?
一つありそうなのが、従業員の給料です。
最近、社会の階層化がよく取り上げられます。年収300万円は去年の流行語になりました。
低所得者層がどんどん増えています。本来、中所得者層であっていいはずの属性の若年者が低所得者層へとシフトしているのです。
この現象は整理するとどうなるのでしょうか?
消費者物価は安定していますが、給料の低下に伴って、同じものを同じ量買い続けることは困難になっていきます。これは、購買力をベースにして考えれば、消費者物価が上がっているということではないのでしょうか?
しかし、それでも日本銀行は現在の定義に従って、消費者物価指数が上昇に転じるまで、インフレーション退治には動かないでしょう。
一方、政府は継続したインフレーションによって、負債を軽減していきます。
この状態はあとどれくらい継続するのでしょうか?