[読書] 日経ビジネス

ピータードラッカーは、人をしっかりと、見据え、見つめた人として歴史に名を残しました。人のモチベーションを中心にしたその哲学が現代の経営に与えた影響はとても強いものがあります。

ちょうど、先週の日経ビジネスは「社員のやる気を束ねる」というテーマで特集していました。

このようなやる気に関連する問題は、ちょうど今とても注目されています。
たとえば、ワイキューブリンクアンドモチベーションのような会社が就職の人気ランキングで上位にランクインしています。

これらの会社の名前も知らない人が多いかもしれません。人材の採用や活用を専門に行うコンサルティングの会社です。通信業界で最も人気がある企業である NTT 西日本と遜色のない就職人気度といえば、どれくらい学生から高い評価を得ているかがわかるでしょうか?

これらの会社はそのコンサルティングノウハウを自社で実践することでこのような高い学生からの評価を勝ち得ているのです。

今までのやる気の引き出し方のノウハウというのはとても簡単でした。将来、給与と地位が高まる見込みが明確にあったからです。

給与と地位が高まる期待があるので、仕事を続けることへのモチベーションが高まり、高い愛社精神で業務を行うことができます。

けれど、現在の会社はそうはいきません。今は不景気でそれほど利益をあげていないため、そもそも給与をあげることができません。そして、仕事の数に比べて管理職の数が多いため、地位をあげることも困難です。

では、今やる気は何によって引き出すことができるでしょうか?

この日経ビジネスの特集では、「尊敬できるトップがいる」、「自社の事業に誇りを持てる」、「会社の将来に期待がもてる」、「就業時間が納得できるか」、というような項目が重視されていることを報告しています。

そういうこともあるでしょう。
ここでもう少し当然のことを頭に入れておく必要があります。

それは、「やる気」というものが何から得られるかということは人によって大きく異なるからです。
実力本位で自分の思いがままの組織にいると、やる気を感じる人もいれば、尊敬できるリーダーのもとで働きたいという人、そして他の人に喜んでもらえるとやる気が出る人もいます。
どういう人が多いかで会社の雰囲気が決まってしまいます。
実力本位、自己裁量の範囲の広さにやる気を感じる人が集まった組織と人に喜んでもらえることに、やる気を感じる人が集まった組織は当然異なります。

これからの経営者は、今いる社員が何にやる気を感じるかではなく、
何にやる気を感じる人を集めたいか、ということに焦点を合わせることが当然になるでしょう。