[政治・経済] ホリエモンというピラミッド荒らし

さて、ようやくライブドアの一連の騒動もひとしきり冷め、そろそろ総括しやすい時期になってきたでしょうか。

ホリエモンが立ち上げた会社、ライブドアは、マネーゲームで非常に急速に成長し、そして現在の逮捕劇にいたりました。ライブドアが合法と非合法の境界線上を進んでいましたが、最終的には非合法とみなされてしまったのです。

今では、ホリエモンライブドアの特殊性について語られていることを最近よく耳にします。しかしながら、私にはホリエモンが特殊な人物のようには思えません。歴史上には同様の事件は多く、ホリエモンは個性的な一人の人間というよりも、現代という時代に育ち出来上がった徒花としてみた方が良いからです。

現代という時代では、一方で年収300万円が流行語になり若年無業が社会的関心事になっています。もう一方で現在の個人金融資産 1400 兆円の大半を 50才以上が保有しており、国の年金と企業年金を合わせて 600 万円を超える引退した無業者も多数います。

このような状況の中で、ホリエモンが生まれたのです。

彼がやったことを見ていると、古代エジプトで盛んに行われたピラミッド荒らしを思い出します。

古代エジプトにおいては、王すなわち神がすべての法律を決め自分が死んだときは、その墓であるピラミッドに絢爛豪華な宝石や金銀財宝を一緒に埋葬しました。

そのため、古代エジプトでは市場に供給されるお金、今でいうところのマネーサプライが大幅に減少し、市場の機能不全さえ起こっていたと言われています。当時の主要な決済手段であった金を市場から集めて、ピラミッドの中に埋めてしまったのであれば、決済手段が足りなくなることで市場が機能しなくなり、社会が混乱するのは現代経済学からいって当たり前の話です。

そこで、現れたのがピラミッド荒らしでした。彼らは命を危険にさらし、法律を犯し、神である王の権威に歯向かって、金銀財宝をピラミッドを盗掘し、そして市場に還元しました。

ピラミッド荒らしたちが倫理も法も神の教えも無視して、自分たちの利益のために行動していたのは間違いないでしょう。
そして、もしも彼らが存在せず、王の墓が暴かれずにいれば、社会の構造、国の経済全体が不安定になっていったのです。

これからも、ホリエモンと同様の事件は続くでしょう。現代にまで遺(のこ)った王の墓は、比較的小ぶりで人目につかなかったツタンカーメンの墓だけだったのですから。