WBC 日本優勝

WBCでMVPを獲得、トロフィーを掲げ笑顔を見せる松坂=20日、ペトコ・パーク〔共同〕

WBC で日本が優勝しました。

おめでとうでございます。
日本が一つになって喜んでいるというこの状況はいいものですね。

この WBC の決勝戦はとても重要なことがいくつか重なって生まれたものだと思います。

まず一つ目で、私はこれがもっとも重要な点だと思うのですが、バド・セリグという球団オーナーという現場出身の有能で辣腕な人間が、メジャーリーグのコミッシュナーとして改革を行うのにうってつけの人材がその能力を発揮しているということです。

バド・セリグはリーグ間の交流戦や日本国内での公式戦の開催など、より野球を楽しめるようにするような改革を次々と打ち出し、成功させていました。その彼が 2005年3月に行おうと提案したのが現在ワールドベースボールクラシックと呼ばれることになる国別対抗の国際試合です。

2つ目は日本が WBC に出場しているということです。
2005年3月に行われるはずだったワールドベースボールクラシックは日本の市場規模の割に利益分配金が少ないということで、日本は開催に反対し、2005年3月での開催は見送られてしまいました。2005年のシーズン中もワールドベースボールクラシックに日本が参加するかどうかについては、利益分配金や日本プロ野球選手会との交渉などの課題があったものの、大会運営について協議を続けるということで参加が決定しました。

そして、3つ目はキューバWBC に参加しているということでしょう。
ニュースにおいて、何度か「キューバは金のためではなく愛のために戦っている」というような発言をしているキューバ人が放送されていました。それは真実です。キューバは優勝しても全くお金をもらうことはできないのですから。

アメリカのお膝元にあるキューバはもともとスペインの植民地でしたが、1898 年のアメリカとスペインとの間の戦争でアメリカが勝利した影響で、1902年に形式上は独立国に、実質的にはアメリカの半植民地になりました。しかしながら、フィデル・カストロが1959年にクーデターに成功、1961年にはアメリカと外交関係断絶・通称禁止となりました。1962年には人類の歴史上最も長い13日間がキューバを舞台に演じられます。
そして、90年代にはアメリカによるキューバへの経済制裁が進行していき、そして一部経済制裁は緩和されつつあるものの、アメリカのキューバへの経済制裁は現在も継続しているのです。

そのため、WBC での利益分配金をキューバに対して提供することはキューバへの経済制裁に違反することになってしまいます。アメリ財務省の海外資産管理事務所がキューバ代表の入国を拒否したのです。
しかしながらキューバには利益分配金は入らないという主催者側の説明やカストロ議長自身も分配金をアメリカで起きたハリケーン被害者に寄付すると言いました。
これらキューバ参加を後押しする活動によりキューバの参加が決定したのです。

このような経緯のもとに、日本とキューバの両国は最終的に WBC に参加可能になり、そして決勝戦で白熱した試合を戦うことになりました。

この大会で健闘した選手たち、そして開催した主催者側、出場するための交渉に奔走した人たちに拍手を送りたいと思います。