[日記][読書] フラット化する世界

2006年刊行のビジネス書の中で1位2位の評価を争う本である「フラット化する世界」を読み終えた。(ちなみに争うもう一つの方は、 「ビジョナリーカンパニー【特別編】」)

「フラット化する世界」は間違いなく、これから数年間リファレンスされ続ける基本的なビジネス書としての地位を占める本。

「レクサスとオリーブの木」の著者でヒュリツァー賞を3度受賞している「トーマス・フリードマン」。翻訳も素直でひっかかるところが少ない良訳。

梅田さんの「Web進化論」と基調は同じだが、より社会全体への影響といった内容に傾斜して、考察している。

きわめて基本的な事実であるが、未来とは現在いままさに一部の領域で起きていることが広範に起きている社会である。その一部の領域ですでに起きているということの具体例を極めて精緻に大量に綿密に例に出しながら説明するその調査能力や人的なつながりには脱帽する。

このような優れた本を書くために多忙で貴重な時間を割いてくれた著者に深く感謝したい。

内容を簡単に説明すると、フラット化する世界では競争や協力・協働が全世界規模のものとなり、全世界で最も才能のある人の間で仕事、サービスを提供しあい奪い合うことになるということだ。
その結果、仕事は、小さくスライスされ、それぞれ別の組織・個人によって遂行される。そのスライスされた仕事は高度なコンピュータシステムによって、極めて効率的に統合される。

フラット化する世界では、技術の習得ノウハウなども世界規模でベストプラクティスが共有され、成長しあうため、それがたとえ従来高度とされた技術であっても、あっという間にコモディティ化し、競争優位の源泉にはならなくなってしまう。

フラット化する世界では、従来持っていた大企業であるがゆえの優位性というものは失われる。高品質・低価格に提供可能なフリーランスの個人に大企業はサービスを奪われてしまい、また高度なスキルがある人はその高度なスキルの部分だけを提供するような仕事の工夫が必要になる。例えばこれからの会計士は、比較的ルーチンワークになる部分についてはインドの会計士に発注しつつ、高度な処理が必要な部分についてだけ自ら処理するような仕事の進め方になっていく。

この本では、多様な分野に言及しておりそれぞれがとても含蓄深い。これからの時代を生きる上での地図、道しるべとなるべき事柄が多く詰まっている。

また、読み返そう。