[政治・経済] アルゴアノーベル平和賞受賞

アルゴアがノーベル平和賞を受賞した。

受賞する可能性があるという話は一ヶ月前には聞いていたし、最近その可能性が濃厚になっているという話も聞いた。しかしながら、本当に受賞するとやはり驚いた。

その驚いた理由は、私がそもそも地球温暖化がそれほど重要な問題だと思っていないからだ。ノーベル平和賞を与えるべきより深刻なテーマはいくつも存在している。

そもそも地球環境問題というのは平和賞の趣旨に合致したテーマなのか疑問だ。

そして、地球環境問題というテーマにたとえ限定したとしても温暖化よりもより深刻なテーマは多い。私の考えでは地球環境の破壊に関係した問題をより深刻に扱うべきであろう。たとえば、砂漠化への対応は喫緊に必要であるし、熱帯雨林焼畑農業マングローブ林の荒廃なども緊急性が高い。

地球環境問題の中でも気候に関係した問題にまで限定したとしても地球温暖化問題は最上位にランクされるべきではない。もっとも深刻な問題は異常気象問題であり、たとえばアメリカで最近やってきたカトリーナやオーストラリアでの深刻な旱魃といった問題だ。

これらの問題を地球温暖化と関連付けて議論する人もいるが、彼らは地球温暖化マーケティングに毒されているからで、実際はそれらの問題は地球温暖化とは独立した問題として扱われるべきだ。

カトリーナは具体的な例なので少し詳しく書こう。カトリーナの被害を最小限に食い止めるために必要な政策はとても明確だ。堤防を整備すればよい。さらに住民の避難方法などを明確にアナウンスできており実施できればそれで十分だ。二酸化炭素の排出量を削減するための方法よりもはるかに具体的で実施のためのコストは低く、それによる恩恵は大きい。

カトリーナアメリカでの例であるが、発展途上国で同種の暴風雨に見舞われればより深刻な被害が出る。先進国がそのための堤防などを整備するというのが地球環境問題に対応する上でまず第一に行うべき事柄であろう。

さらに、地球環境問題の中でも百歩譲って地球温暖化が重要な問題であるとしよう。そうであるとして、二酸化炭素の排出量規制は有効な施策なのであろうか?

これについても極めて疑問を持たざるを得ない。
いろいろ書きたいことがあるが、その中でも特にバイオ燃料を取り上げたい。
バイオ燃料は21世紀の愚かなアイデアとして後世から評価されるのはほぼ確実だ。これこそ真の「不都合な真実」として紹介されるべき問題だ。

バイオ燃料穀物等を元にしてエタノールなどをつくり、それを燃料にして自動車を走らせるというアイデアだ。
たしかにバイオ燃料化石燃料の枯渇問題には効果的であろう。

しかし、それが二酸化炭素を減らさない理由は本当に当たり前のことだ。なぜなら、もともとジャングルや植物の生い茂る平原、食用の穀物向けの畑といった場所だからだ。バイオ燃料用の穀物を栽培したとしても二酸化炭素濃度は好転しない。

特にもともと植物が生い茂っていた地域を開墾し、バイオ燃料向けの穀物を栽培させる場合は二酸化炭素の吸収量はトータルでは減少する。豊富な生態系を壊し、偏った一種の植物を生育させるため、効率が低下するからだ。

他にも問題がある。バイオ燃料の精製のために排出される二酸化炭素量も無視できない。さらに、もともと食用だった穀物バイオ燃料用に転用する場合は、価格を高騰させ、単に発展途上国の貧しい人たちの餓死者を増やすだけの結果に終わるだろう。それは私たちが望む結果なのだろうか?

もともと砂漠だった地域で穀物を栽培できるようにして、バイオ燃料を生成するのであれば効果的であろうが、実体はそうではない。

本当に地球温暖化問題は何重もの論理破綻をしている。

しかしながら、地球温暖化問題は最も政治的マーケティングに成功した環境問題である。