オバマが米国次期大統領当選

バラク・オバマアメリカの次期大統領に決まった。予想よりもはるかに大差で当選を決めたということに驚いた。

従来、アメリカの大統領選においては事前の世論調査よりも結果は共和党側に有利になるというのが常識であった。今回その常識を覆した。

バラク・オバマが大統領となったことで、いくつもの常識を破った。もちろん黒人であることがあるが、もうひとつ兵役を経験していない初の大統領である点を見落としてはいけない。

アメリカはマッチョ信仰がある国であり、大統領というのは肉体的にも頼りになる存在でなければならない。カリフォルニアでは、アールノド・シュワルツェネッガー州知事なのだ。しかし、オバマは見るからに痩せており、肉体的に頼りになる存在ではまったくない。

オバマが大統領となることによる大きな変化は、議会と大統領が同じ党派となることだ。民主党による統治が確立されることによって、さまざまな政策の進行速度があがることが期待できる。

軍事面では、イラクへの撤退を進めるが、逆にアフガンなどでは兵力を増強しそうだ。金融危機対策への財源を捻出するためにも戦費の軽減は不可欠なのだが政治上達成できるかはいまだ疑問符がつく。もう少し様子見が必要だろうか。

外交面でロシアとの冷戦の再発を抑えられるかに注目したい。ロシアは現在、金融危機の影響でロシア新興財閥への求心力が低下しているという背景もある。うまくロシアと対話できれば軍事費の削減により、他の対策を進めやすくなる。イランへの対応などについても対話的に進めていきそうだ。特にオバマは外交関係を多国間関係として認識する部分がある。

たとえば単純な日米二国間関係ではなく、多国間交渉の中の1つの鎖の輪として位置づけられていくだろう。日本としてはそのような多国間関係の中の日米関係という位置づけの変化についていけるかどうかが外交課題となる。

経済政策については、思いのほかこれまでと変化はなさそうだ。たとえば、バーナンキ議長は留任されるし、ポールソン財務長官もそのまま金融危機対策を指揮するだろう。

オバマになろうと、他の誰かがなろうと、現在の金融危機は困難な状況であることは変わらない。今後、アメリカは、投資銀行や自動車メーカがたった一つしかない国になっていく。その中で没落していく中上流層も含めて、未来への希望をもてるメッセージを打ち出し続けられるかどうかがこれからの危機への対応に必要となるだろう。

オバマ大統領にとって一番の危険は暗殺だ。

特にオバマ大統領が軍事費の削減を思慮浅く進めてしまった場合、白人至上主義者による暗殺の形をとりつつ、軍需産業による暗殺が起こるだろう。

ただ暗殺の危険はありつつ良いニュースもある。オバマが暗殺された場合に大統領となるバイデン氏は老練で高い外交手腕があることだ。アメリカはそれでもうまく舵取りされるだろう。