[政治・経済] クラウディングアウトと、クラウド化
世間は100年に一度の大波乱ということで大変な状態だ。
政府からの出資によって AIG や GM 、クライスラーは存続することになるだろう。他にもこれからを期待される環境関連の企業は政府によって、補助され、発展が推進されるのが当然の状態にあるようだ。
政府による支援は、必要な場面があるのは当然だ。供給能力が十分ある状態で需要がなければ、政府が需要を肩代わりしないといけない。
しかしながら、政府の支援が過ぎる場合は弊害があることも見逃してはいけない。
政府の支援はクラウディングアウト効果をもたらす。政府は支援を行う過程で大量の国債を発行する。大量の国債の発行は、市中金利の上昇をもたらし、民間の投資などをおこないにくくする。
政府ががんばりすぎる結果、民間の経済活動がひっこんで、発展しなくなってしまうのだ。
政府という大きな機関が相対的に小さい民間の活動を抑制させるということだ。民間と政府が競合してしまう場合はどうしても、政府が有利になってしまうのは当然だ。政府がパターナリズムを働かせ、民間の活動を助けている場合は、政府の助けを借りるのも良いだろう。しかし、たとえば政府も生き残りのために必死なのだとすれば、政府の申し出をもっと適切に扱うべきだ。
現在、他の大きな時代の変化にクラウド化がある。クラウド化を同時にこの記事で扱う理由に音が似ているから、ということ以外に共通点があるからだ。
それは、提供する主体を大きくさせる一方で、それと競合した事業を提供していた会社を縮小させる結果を生むだろう、という点だ。
クラウド化によって、ある種の事業が大幅に縮小させられる。たとえば、システムインテグレータなどのシステムを導入させるのに関係する事業を行っていた企業には打撃だろう。他にもクラウド化が一般に直販に近いモデルで提供されているのも重要な特徴だ。
たとえば、今までマイクロソフトが提供していたようなパッケージによるオフィス内のコラボレーションツールの場合は、パッケージの購入とその導入は代理店を経由した形が一般的であった。
しかしながら、マイクロソフトが提供するクラウドサービスの場合は、代理店経由ではなく直販経由となるだろう。それは、マイクロソフトが今までパートナー企業と分配していた収益をパートナーから自社へと持ってくるということだ。
このような変化はこれからどんどん進むことになるだろう。
クラウド化は端的な一例にすぎない。
これからは市場が成熟し縮小する時代となる。
しかし、企業は常に成長を求められる。
その場合、自社の範囲を超えた、関連市場での収益を自社に持ってくるような変化を行う以外に方法がない。
たとえば銀行は消費者金融分野に進出し、大規模小売業がプライベートブランドにより製造業的な収益を吸い上げることになる。
強いものがより強くなる時代に向かうのだ。
70年代にそうした時代があった。アメリカでは、経済が低迷し、成長しなかった。株価は一定の水準にとどまり、石油などの商品価格は高騰した。
その時代に流行したキーワードは「コングロマリット」だ。
強い大企業が「コングロマリット」化によりフルラインへと向かう時代だったのだ。