IT関連銘柄というレモン市場

とうとう、ライブドア堀江社長が逮捕されてしまいました。

それに伴って、幾多の IT 系企業の株価が暴落しているようです。そして、IT 企業の社長は「とばっちりを受けている」というようなコメントを発表しています。

個々の企業の具体的な詳細を知っているわけではありませんが、きちんとした経営を行っているヒルズの会社も多いものと思います。

ところで、現代という時代は、自己責任を取ることが重要視され、また、多くの仕事が高度に細分化、専門化しています。

このような時代においては、株式市場に上場している企業の詳細を理解することは個人にはとても難しく、ヒューザーの社長のように口八丁で言っているのか、誠実なことを言っているのかは判別できません。

そして、このような極端な情報の非対称性がある市場ではその非対称さが露見したときに、優れた企業でも本来の価値よりも低く評価されるということは仕方ありません。

このような現象は、昔から中古車市場で有名でした。中古車は事故アリか事故ナシかで、価値が大きく違うわけですが、中古車のセールスマンがそれらを容易に見分けることができるのに対して、一般消費者は区別することが非常に困難です。

このような場合、市場そのものが信用できないため、中古車の値段全体が下がってしまいます。そして、高い品質の製品では採算がとれなくなるため、劣悪な品質のものだけが市場に氾濫してしまいます。その結果、市場からは消費者が離れていきます。

この現象は一般にレモン市場と呼ばれます。レモンとは欠陥のある中古車を意味する俗語です。腐ってるかどうか見ただけではよく分からないことからそういう比喩が生まれたようです。

素人にとって分かりにくい仕組みになっていて、その無知を利用する人間がいる以上、レモン市場になっていきます。

拝金主義、市場万能主義がこれからも支配的であれば、レモン市場は進んでいくでしょう。

現代という時代では、専門家が専門のことをやることを信用し、その前提でお互い協力していくことで社会が成立しています。そして今その前提が少しずつ崩れているのかもしれません。