もしも昨日が選べたら

昨日は、夜にあるCEO塾(法人税法の勉強などをするセミナー)に参加するまで、大分時間が空いていたので、一人で映画を見てきました。

見た映画は「もしも昨日が選べたら」。

これは久しぶりに見た極めて面白くかつ感動的な映画だった。

ストーリーの概要としてはディケンズの「クリスマスキャロル」を現代風にアレンジした印象。なお、クリスマスキャロルをまだ読んだことがない方は必ず読むべきだ。19世紀英国文学の最高峰。映画化も繰り返しされている。
人生を早送りできる不思議なリモコンを手にした人が、時間の大切さや家族の大切さに気づく笑いあり、涙ありのストーリー。

この映画の良い点は、とても基本に忠実なところだ。若干ネタバレかもしれないが、ストーリーの重要な箇所は紹介しないので、少しレビューする。











まずきちんとした長めの時間を取った導入部が良い。導入部で日常のつまらなさをうまく表現できていて、でありながらコメディタッチなので見ている人に笑いを与えてくれる。この物語の最初に日常のつまらなさを強調するという点に失敗している作品は多い。作者の書きたいこと・伝えたいことを早く書きたい気持ちは分かるが、それよりもちゃんとこういう基本を押さえた作品の方が私は好感を持てる。そういえば、私自身も Ruby の Web雑誌 Rubyist Magazine で、Excel について書いたときはその点に工夫しようと努力していた。懐かしい。

日常の世界からファンタスティックワールドへの扉を開けていくくだりでは、劇中に本当にあやしげな扉をくぐりぬけてあやしげな部屋へとたどり着く展開。私はこういうベタな展開が好きだ。

ファンタスティックワールドでは最初素晴らしく快適な時間を感じるがだんだんとその副作用に気がついていき、恐れおののいていく。ここは、「クリスマスキャロル」の「未来のクリスマスの霊」の代わりとなる万能リモコンが登場する。この最初はとても快適な時間を感じるがだんだん教訓めいたことに気がついていく魔法の道具というモチーフは、日本の大人気アニメ「ドラえもん」にも通じる。現代の寓話だ。

後半から終盤にかけては家族愛を表現したシーンはとても感動的だ。映画館で聞こえる音から判断して、感動の涙を流した人はとても多かったようだ。

映画好きであれば、中盤まで見ればラストまでの展開を見通せるだろう。それでも私はこういう展開が好きだ。予想を裏切らない展開の素晴らしさに拍手しよう。それに、この映画は大筋の展開だけでなく、ディテールの表現もとても良い。

もう一度見に行きたいと思った久しぶりの映画だった。