王子とニート
今週の日経ビジネスのタイトルは、「王子とニート」。
秀逸なタイトルだ。
団塊の世代のサラリーマンが主な読者層の日経ビジネスでどう描くか期待して読んだ。
この文章を読んで印象に残った点は
- 社会全体として育てること、特に職業観を育てるかことが放棄されている。
- 「王子」は、育てる苦労を経ずにその結果を消費・享受したいという願望を満たす対象
- 成果主義や競争が弱体化させる
- 人材を育てようという使命感が大切
- ときには自由に任せるのではなく、有無を言わせず教えることが必要
- ときには家族主義的なあたたかさ、ウェットな関係が大切
だろうか。
こういうテーマというのは、懐古主義な論調に流されやすいが、そうはなっていないところが好感できる。
時を同じくして、労働経済白書 http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/ が公表された。
それほど目新しいことが書かれていたわけではないが、それでもいくつか新しい発見があった。
- 30代での労働時間および収入の格差が広がっている
- 90年代以降、20-24 才を 100 とした年齢階級別賃金は30代が抑えられ、50代が伸びている
- 労働時間の面では、30代が特に負担が大きい
- 仕事への満足度や就業意欲は、「仕事への努力」、「個人の成果」、「個人の資格や能力」といった個人的な要因が影響を与えている。
- 個人的な要因が重視されることが労使の力関係に影響を与え、ベースアップが縮小されるというロジック
ワークライフバランスの実現というのは、今回の参議院選挙でのテーマにもなった。このテーマは、言うは易し、の一言に尽きる。しかし、それでも目指さなければならない。
実現できていない理由として、非正規雇用の増加や個人的な要因を重視する価値観などによる労使の力関係の変化という切り口は、もう少し掘り下げると面白いと感じた。