ドルの今後

もうすでに世界は恐慌の世界に続く扉をノックしている状況のようだ。

現在の状況に合わせていろいろと調査・分析していたのだが、次におきる重要な変化としては、ドルペッグ制をとっている高成長国がいつドルペッグから外れるかであろう。

この変化はいくつかの重要な意味を持つ。

1つの重要な意味は、ドル建て資産のウエイトがどう変化するかである。

ドルが減価し続けている現在、ドルペッグを維持するということは、バランスを保つために、自国通貨を刷り続け、ドル建ての金融資産を買い続けるということである。不胎化か非不胎化かといった手法の問題はあるが、基本的にはドル建て資産の積み増しとなる。

ほかの重要な注目すべき点としては、ドルペッグの次にどうなるかということだ。これは変動幅の拡大のようなソフトな変化から自由に変動しはじめるというハードな変化までいろいろな選択肢はありうるが、現実的な選択肢としては、自国の貿易ウエイトを元にある種の通貨バスケットを選択し、その通貨バスケットに対してペッグするような手法であろう。

この通貨バスケット化する政策は一見よさそうだが、中国に代表される重要な国家がドルにペッグしている間は、実質的にドルの比率が高く維持されるため、インフレーションを回避するといった効果をあまり強く期待できないという問題がある。

ほかに重要な着目すべき点として、そのような変化が起こるまでの間、ドルペッグした高成長国の市場で何が起きるかである。高い可能性としては、自由に両替可能な為替市場が消えうせるということであろう。

相場を管理するという不可能に挑戦しようとすれば、自由な市場が失われる。相場を管理することはできても、その一方 本来の需要と供給を満たすことはできないからだ。

なお、この文章で想定されているドルペッグ制をとっている諸国は香港、ベトナム、中東の一部の国、中南米の一部の国である。